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ScatteredDestiny秘話 第一回 歌詞について いずみん

3月 15th, 2009

ども!いずみんです。
おかげさまで「Scattered Destiny」、早くも再販決定いたしました!!ありがとうございます!

もう皆さん、Scattered Destiny聴いて頂けましたでしょうか?
聴いて頂けた方にも、まだの方にも読んで頂きたい!
Scattered Destinyの楽しみ方(苦労話?)を、今回から色々書いていこうと思います。

皆さんのお手元のScattered Destinyは、
ただ1枚のCD、あるいはパッケージでしかないのですが、
その中には今回のCD製作に携わった総勢18名の、18種類の時間と18通りの想いが込められています。
今日この時から、色々書いていこうかなと思います。
アレンジャー・デザイナー・イラストレーター・歌詞・歌い手・総論(黒鳥・いずみん)の全六部編成となっており、
週に1~3回ぐらいは更新していく感じです。期待してて下さいねー。

第1回目は、歌詞(いずみん)についてです。

今回歌詞製作に参加したのは、いずみん、cao.、くまりす、したらばの、合計4名です。
関係ないですがしたらば君はオーバーワークで血液型が変わってしまいました(O型→B型)

さてさて、今回は第一回目という事で、「死奏燐音、玲瓏ノ終」歌詞製作についてです。

まずは手始めに、全文載せておきます。

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「死奏燐音、玲瓏ノ終」

それでも人は、醜くも生きようとする。
それを私は、とても美しいと思う。

記憶の音色は風に運ばれ、空へと舞い上がり、
雨に打たれる事もなく自由に舞い踊り、短い生を謳歌する。

廻れ廻れ報われぬ
道を紡ぐ我が子等よ
其の物語を風に乗せ
いつか空へ葬ろう
願えども願えども願い叶わず
走れどただ走れども辿り着けずに
贖えど贖えど罪は消えずに
廻れどただ廻れども終は視得亡い

足跡鼓動は 終わりに向かい始まる
其れでも人は此方へと歩いて来る
歪な憂世を呪い悔やめど求めて
其れでも何も手にする事は出来亡い

蹴落とされ殴られて雨に打たれ泣いて崩れ落ちて
渇く喉で叫んでも戦えなくて
奪い取られ支配され転がり落ち血を流していても
立ち上がり繰り返し 求め叫ぶ

詠え詠え報われぬ
道を歩む我が子等よ
其の物語を風に説き
いつか天に捧げよう
願えども願えども願い叶わず
走れどただ走れども辿り着けずに
登れども登れども墜ちて爪剥げ
戦えども戦えど癒えぬ傷だけ

全ての出会いは 離別に向かい始まる
其れでも人は誰かの傍で生きたい

裏切られ侮辱され足蹴にされ心を壊されて
裂けるくらい叫んでも声は出なくて
生きる事を否定され 幾度死のうと決意していても
這い上がって繰り返し 願い叫ぶ

音も亡く 灯火が消え、深い闇に沈み込んだ果て。
其処に…冥府に咲くひとつの桜が在る。

花弁は数多の死を映して仄かに染まり、地に落ちては紅く染まる。
暖かい春風に舞う幾つもの死を、あなたは奇麗だと云う。
それがとても嬉しくて、私は…花弁の数だけ死を誘う。
「こんなにも美しく咲く最期なら、彼等も報われたでしょう」

西行妖――――。
今宵もまた、紫月の下に咲き乱れる。

願えども願えども願い叶わず
走れどただ走れども辿り着けずに
贖えど贖えど罪は消えずに
廻れどただ廻れども終は視得亡い

思い思いに抗えど、残酷なセカイは等しく降り掛かり、
去れど人は、今を生きるより他に道は無い。
「あなたも廻り、そして舞い散る。
―――死奏憐音、玲瓏ノ終。」

咲かせ咲かせ報われぬ
道を歩む我が子等よ
其の物語を抱きしめて
いつか天に届けよう
歌えども歌えども歌は届かず
手にしても手にしても壊れてしまう
贖えど贖えど罪は消えずに
廻れどただ廻れども終は視得亡い

それでも人は、醜くも生きようとする。
それを私は、とても美しいと思う。

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この歌詞は、いずみんにしては長く一週間超の時間を掛けて製作しました。
「情景や設定は基本的に聴き手の方々のハートの中にある物であり、解説するのはナンセンス」という、
歌詞製作暗黙のルールはバシルーラ致しまして、とりあえず中身をごっそり引き摺り出して書いてみます。
フリーダムな同人の素晴らしい所です^w^

情景:冥府に佇む幽々子様、傍らにみょん。桜の木の下で、散りては飛び去る花弁を見送り、憂う。
背景設定:ヒトは死した後、幽々子様の所に送られる。六道いずれかに振り分ける際、
罪無く報われぬ憐れな魂を選定し、西行妖へと埋葬する。
彼女によって一つの生は一つの花弁として生まれ変わり、春になると咲き、何処かへと飛び行く。
散り行く花弁は生の記憶を流す。そのどれもが、耐えがたきを耐え、辛くとも生を歩んだ音色。
ようやく咲くも短く、瞬く間に散ってしまう儚く美しい「花」・「生」の音色を憐れみ涙を流す。
妖夢にはその死の音色は聴こえず、ただ散る桜を「綺麗」だと言う。
死の音色を聴いて尚、幽々子は「美しい」と思う。
「綺麗」と「美しい」は良く似た単語ですが、意味の焦点・ニュアンスが微妙に違います。
そこら辺も意図的に掘り掘りした落とし穴です。ズッポシ。

お気付きの方が多いでしょうが、この歌詞には「人間サイド」と「幽々子サイド」が共存しています。
歌いだしで既にハッキリしています。
「願えども願えども願い叶わず」が人間サイド。
「廻れ廻れ報われぬ 道を紡ぐ我が子等よ」が幽々子サイド
です。
根本的な話になりますが、ヒトにとって何がもっとも苦痛なのかを、
いずみん個人で考えたならば「報われない・救われない・叶わない」の三つだと思います。
電車でおじーちゃまに席を譲ったら杖でドツかれたら悲しい、そんな感じが「報われなさ」
ここで負けては後が無い状況で負ける、あっけなく潰える、「救われなさ」
幾ら神頼みしようが足掻こうが無理な物は無理。努力してもイニシアチヴには勝てない。そんな「叶わなさ」

そういった物が根幹にあります。
「あのヒトは満たされている」と周りから思われる人間であれ、そういった気持ちにいきどおりを感じる事はとても多いと聞きます。
むしろ、「満たされていない」と思われる人間より、その絶望さ加減は高いとか。

一言で書くと「死奏燐音、玲瓏ノ終」は、「人間の生を俯瞰視した幽々子の、憐れみの心情と彼女なりの救い」です。
死した人間・魂には意識なんてものは無く、桜に変わって空を舞おうが何されようが、一寸も理解できません。
しかし、それを「救った」「報われた」と定義するのは、幽々子のエゴではなく、
「一つの存在としての在り方を美しく終わらせた」ことに対する気持ちです。

以上、「死奏燐音、玲瓏ノ終」に関しての解説でした。
歌詞を書いた時の気持ちと言うのは、後で語るには劣化した部分もあります。
この他にも、埋め込んだ物がいくつか有ると思います。
また、前述の「歌詞を解説するのはナンセンスという暗黙のルール」ってのは、「定義付けないからこその美しさ」イコール、
「ミロのビーナスには腕が無いから無限の腕が想像出来るから素晴らしい理論」ってことらしいので、
この作詞者の世迷言を信じずに、己の解釈で咀嚼していただければ、これ以上の幸福はありません。

また、「死奏燐音、玲瓏ノ終」というタイトルの由来については、何処かに書いた覚えがあります。
このブログの過去ログを探してみてください。

この歌詞製作にあたっては、お日様もビックリなポジティブいずみんマインドを、
無理矢理ネガティブスパイラルにぶちこんで、暗い部屋で時間を掛けて製作致しました。
ちなみに前作「緋色月下、狂咲ノ絶」に於いては、殺意と甘美な狂気の無限ループに頭をシフトしていました。
ENSの次回作では、どんなワールドに飛ぶのか楽しみでございますw

とりあえず今回はすっごい長くなっちゃった気がしますが、こんな所でw
次回はまたいずみんです。「幻奏幻花、届かずの音色」解説になります。

おたのしみにー^w^ノシ

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